こんにちは。
今回は、2021年度オークスについて振り返っていきたいと思います。無敗で歩んできたソダシの敗戦からユーバーレーベンの戴冠など、1つずつ振り返ります。
レース内容

序盤
ゲートは出遅れのない揃ったスタート。ここまで無敗のソダシも好スタートを決めるも、積極的にハナを叩く馬が出ず、内から押し出される形でクールキャットが先頭に立つ。
クールキャットを見る形でソダシが2番手確保を試みるも、被せるように外から主張してきたステラリアにポジションを譲る形で後退し、結局4番手からの追走。この辺りで首を起こす仕草をしきりに見せ、吉田隼人騎手が必死に折り合いをつけようと手綱を操るが、不安の残る展開に。
中盤
一団のまま3コーナーへ向かうと後ろの馬が徐々に外から進出を開始。依然先頭はクールキャットも、弾けるタイミングを全馬が窺いながらの追走で、勝負の4コーナーから直線へ。
アドバンテージを活かそうとスパートをかけたクールキャットに呼応するように仕掛けが始まると、流れは一気に加速。早々に捕まったクールキャットに代わるようにククナ、ソダシ、ユーバーレーベンが脚を伸ばし先頭争いは苛烈に。
終盤
残り200mを切る時点で先頭に立つのはユーバーレーベン。馬場の真ん中で長い脚を使いリードを開こうと更に加速すると、ククナと無敗馬ソダシがここで脱落。
しかし、ソダシを見る形で脚を溜めていたアカイトリノムスメ、鞍上C・ルメール騎手がここで満を持しての追い出し。馬群を縫って進出し一気に先頭に迫る。大外からは単勝215.4倍のハギノピリラが激走を見せ、GⅠ初騎乗とは思えない藤懸貴志騎手のムチが唸りを上げる。
結果
だが最後はユーバーレーベンが1馬身抜け出し見事に勝利。3月に惜しまれつつこの世を去った岡田繁幸氏(※1)へ捧ぐ優勝を掴んだ。鞍上のM・デムーロ騎手は昨年のNHKマイルC以来のGⅠ勝利で、見事な復活の狼煙をあげた。
接戦の2着争いは写真判定の結果、ハナ差でアカイトリノムスメに軍配。僅かに届かず3着に終わったハギノピリラだが、その大健闘もあり馬券は3連単で約53万円と高配当に。
そして、1番人気に推され昨年に続く無敗2冠を期待されたソダシは8着に沈む結果となった。
※1 岡田繁幸氏はクラブ法人株式会社サラブレッドクラブ・ラフィアンの前代表取締役社長。競馬ファンからは総帥と親しまれていた。過去の所有馬にはコスモバルク、コスモサンビームなどがいる。
ユーバーレーベンの勝因とソダシの敗因

明暗が分かれた両馬ですが、なぜこの結果になったのでしょう。
私の視点で、その理由を考えてみました。
なぜソダシは負けてしまったのか
レースとしては序盤の位置取りを上手く行えなかったのが大きかったですね、余分な体力を使ってしまったように見えます。ここまでの最長レースも札幌2歳Sの1.800mまでで、2.400mは未経験の舞台で距離不安もあったでしょう。
加えて終始マークされることでのプレッシャーも受けてしまいましたし、素質の高さで押し切るには厳しい展開だったように思えます。
次に血統面から見てみます。父は名馬クロフネ母はブチコ、クロフネはノーザンダンサー系(ヴァイスリージェント系)ですね。芝でも砂でも活躍する産駒が出ており、距離は短距離からマイル戦までが主戦場になります。
代表産駒はカレンチャンやホエールキャプチャ、近年なら中山大障害でオジュウチョウサンと激戦を繰り広げたアップトゥデイトが挙げられます。
母:ブチコ(母の父:キングカメハメハ)
ここで浮かぶのは、クロフネ産駒のソダシに2.400mは長いのではないか?という疑問です。母の父にキングカメハメハがいるとはいえ、基本的には父の能力を色濃く受け継ぐことからこればかりは走ってみないと分かりません。
そして今回のレースを見ると残り300m辺りから脚が止まり始めていることから、道中のロスを抜いても2.400mの舞台は長かったと言えるのではないでしょうか。
まとめると、ソダシの敗因は道中のロス+血統の距離適正にあると思います。3歳までは適正を能力でカバーできると言いますが、苦しい展開に他馬のマークと今回はより厳しいレースだったでしょう。
距離適性に関しては陣営も当然頭にあったことでしょうから、無敗の桜花賞馬を負けるリスク承知でオークスへ送り出してくれたその姿勢にファンとしては感謝したいですね。
なぜユーバーレーベンは勝てたのか
レースは3コーナーから徐々に進出し4コーナーを過ぎてから勝負。残り400m付近から長く使える脚で伸び続け後続を振り切った形です。強い競馬でした。
最後は青枠2頭に詰められましたが、まだ余裕があったように見えます。騎手の位置取りも上手かったと思いますし、それに馬が応えてくれた勝利だと思います。
レースの臨戦過程も、重く残し大敗したアルテミスS以降はレースを使いつつ絞り、少しずつベスト体重を目指していたような印象を受けます。
デビュー体重より減ってしまったフローラSでは流石に絞れすぎたか、そこからの1か月は馬体を戻す形で+8kg。馬体を戻せたのが好走に繋がったのではないでしょうか。
母:マイネテレジア(母の父:ロージズインメイ)
血統は父がゴールドシップに母がマイネテレジア。ファミリーラインを覗いてみると3代続けてマイネの名前が並んでおり、これぞ競馬!という感じですね。
父はウマ娘で一気に知名度が上がったゴールドシップで、これが嬉しい産駒初めてのGⅠ馬。同3歳には京都新聞杯3着のマカオンドール、5着のヴェローチェオロもおり、更なる活躍に期待がかかります。
サイアーラインは言わずと知れたステイゴールド系で、中長距離で多くの名馬を輩出しています。代表産駒はドリームジャーニー、ナカヤマフェスタ、オルフェーブル辺りでしょうか。
特筆すべきは凱旋門賞での2着がここだけで3回という点で、パワーを求められる洋芝に適応できる力強さを備えていることが分かります。また気性が荒いことも有名ですが、良い方に出た時のインパクトが強烈なので、多少のやらかしは仕方ないでしょう。
まとめると、血統適正+騎手の仕掛け+馬体重増が勝因だったのかなと思います。ゴール板前を見ても、差しにきたアカイトリノムスメは脚が止まってましたし、外のハギノピリラもまだ凌げそうな勢いがありました。3着続きでしたがこのオークスの勝ち方は個人的にとても評価しており、これからが楽しみです。
ユーバーレーベン・ソダシの今後について

個人的な予想になりますが、両頭の今後のレースを考えてみます。
・ソダシの今後
秋まで休養した後、ローズSから始動と見ます。
今回負けたものの、距離を選べば同世代の牝馬ではまだまだ一線級。秋華賞も頭に入れながら、ここで秋の動きを見極めるのではないでしょうか。
・ユーバーレーベンの今後
同じく秋まで休養の後、秋華賞を目標に動くと見ます。
古馬戦線が強力なので、なるべく早く当たるのは避けるでしょう。その後はエリザベス女王杯、ここまで連勝なら有馬記念も視野に入ります。
→ エリザベス女王杯(GⅠ-2.200m)→ EX:有馬記念(GⅠ-2.500m)
・まとめ
いかがでしたでしょうか?人によっては物足りない、違和感を感じる部分があるかも知れませんが、その場合はコメントをいただけると勉強になります。
競馬に慣れていない方や始めたばかりの方も、あくまで個人の見解ですので全てをそのまま鵜呑みにせず、ご自身の考え方の足しにしていただければ幸いです。
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