こんにちは。
今回は、【公益財団法人動物環境・福祉協会Eva】より帯広市長へ提出された
ばんえい競馬の廃止を求める要望書
についての意見をまとめます。
いわゆる売名行為には加担したくないので、中心の方のお名前は伏せ中身についてのみフォーカスした記事にします。また、書きやすさから今回は「です・ます調」は控えたいと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
事の発端から要望書提出までの経緯

まず最初に、なぜこのような要望書が提出されることになったのかを振り返ってみる。
衝撃的な動画の拡散・炎上
2021年4月18日、帯広のばんえい競馬場では能力検査が行われていた。これは競走馬になれるかの検査であり、結果によって該当馬のその後が大きく変わる大事なものだ。
その最中、第2障害で座り込んでしまった馬の顔を騎手が蹴り上げる様子が配信され、SNSで拡散されるとたちまち炎上。各種メディアも取り上げる大問題となってしまう。
※問題となったドウナンヒメの様子
その後、帯広市長が謝罪会見を開き再発防止策の整理を約束。該当騎手は戒告処分と共に、当分の騎乗自粛を申し入れ、事態の収拾を図った。
問題行為の背景・それに対する反応
各種メディアがこぞって報道を重ね、その映像が流れる度にそれを非難する声が強くなる中、当たり前の疑問についての見解が少しずつ広まり始める。
なぜ馬の顔を蹴ったのか
これについては関係者を始めとした多くの意見が出ていたが、まとめると以下に収まる。
2. 引っ張っても厳しく、起き上がれなくなった馬を助けるための最終措置として蹴った。
3. 非常に悪質な報道が重なったが、イラ立ちなど感情に任せての行動ではない。
4. 該当馬の生産者、馬主はこの対応に理解、納得をしている。
しかし、少なくとも700kgを超える大型馬を、果たして人の腕力だけで起こせるのだろうか。
普通に考えれば無理な話であり、それは普段の会話レベルであればすんなり聞き入れられただろう。しかし今回は映像だけが先に拡散されてしまっており、上記の内容が浸透するには悪いイメージが形成されすぎていた。
それでも時間の経過に伴いこのような話が少しずつ広がり、非難の声は小さくなっていったものの、ばんえい競馬の有り方に対しての疑問の声は未だ止んでいなかった。
そして、冒頭の要望書へと繋がっていくことになる。
提出された要望書の内容とは

ここからようやく本題に入る。
動物愛護団体である【公益財団法人動物環境・福祉協会Eva】から一通の要望書が帯広市長へ提出された。その内容はばんえい競馬の廃止を求めるもので、賛同団体等は56に上るという。
一体どんな内容なのか、順を追って考えてみたい。
要望書の大まかな内容
全文掲載は長くなってしまうので、要約したものを以下に記す。
2. 馬の顔を蹴る行為は【動物の愛護及び管理に関する法律】に抵触しており、犯罪行為とし て警察へ届け出るべき内容であるという指摘。
3. ばんえい競馬は動物愛護運動の観点から受け入れられない仕様であり、世界で唯一の不名誉な時代錯誤の競馬であるという非難。
4. 国際的な動物福祉の基本原則である【5つの自由※1】を引用した要望書の正当性の訴え、それに連なるばんえい競馬の廃止決断の要求。 ※1…重要でないので割愛
5. 廃止した上で、ばん馬を廃馬にすることなく余生を全うさせる手段を検討せよとの要望。
簡単にまとめると、動物愛護団体として「ばんえい競馬」は世界的に見ても許容されない形態をしており、然るべき対応を求めるというもの。
ここで見るべきは馬の顔を蹴った理由に触れていない点、歴史について触れていない点、関係者の失職や補償について触れていない点など、それにより考えうる懸念事項については丸投げという点。
言いたいことだけ言って終わるのだから、要望書とは楽な物である。
廃馬にすることなく余生を全うさせる手段とは
ここで最後の要望について触れてみる。5.の内容についてだ。
検討せよとはいうが、関する意見やアイデアなどは一切記載がなく言いっぱなし。外部から無責任に求める割には、それを実現しようとする姿勢を見せないのだから驚きだ。
そもそも競馬は賞金を根幹に据えた競技であり、馬主は様々な形でのリターンを見込めることで投資を行う。いわゆる産業動物(経済動物)である。
そこから金銭の絡みを抜き、愛玩動物(ペット)として面倒を見るとなった時に、一体どれだけの人が面倒を見続けるだろうか。馬は犬や猫と違い体も大きければ管理規模も大きく、支出の額は家庭のペットとは比較にならない。
そうなれば管理は難しくなり、断念する人が続出するのは想像に難くない。そしてその先にあるのは種の絶滅、または馬の野生化である。どちらに転んでもマイナスは必至だ。
素人の私でもこれだけ考え付くのだから、専門家に聞けば更に問題は増えるだろう。理想を掲げるのは結構だが、具体的な解決法すら提示せずにそれを掲げられてもという話である。
この要望書を受けて考えたこと

この話題を見た時に考えたことを以下に記す。
ばんえい競馬の経済効果はどれほどか
まず、ばんえい競馬のメリットについて考えてみた。当然現地の方が紡がれてきた歴史や種の繁栄などの大切さもあるが、好んで嗜む程度の私には荷が重くここでは数字だけに言及する。
ここで注目したのは、ばんえい競馬の終了報告。これは発売金額や来場者数を記しており、年度ごとの現地における運営情報を知ることが出来る。

※引用先 ばんえい十勝令和元年度 終了報告
これはコロナウイルスが広がる前の2019年度までのデータになっており、来場者数も地元の方だけではなく道外の方も見込むことができる。
そして調べている中で、平成28年度は約161億の売り上げと共に十勝地方への経済波及効果が60億円を超えたという話を目にした。これは大変な数字である。
ここから令和元年までを考えると来場者数は3万人増えている。これは更なる地域貢献をしていることに他ならず、ばんえい競馬の貢献度の高さを示す一例と言えるのではないだろうか。
愛玩動物と産業動物の線引き
今回の記事で一番語りたかったのはここであり、とても難しい問題だ。
動物の全てが愛玩動物ではなく、先述したように利益を目的とした産業動物としての運用も大変多い。だがそれは愛さないという話ではなく、育成の中で愛を注ぐ方は多いはず。
しかし動物愛護団体は動物に対して無条件に近い保護を求めており、今回のように相容れない形となってしまうことも少なくない。
そして今回は「ばんえい競馬」が対象となっているが、競争生活において愛を注がない関係者は間違いなくいない。つまり問題は護られているかの点で、ここが一番の争点となっている。
実際「ばんえい競馬」は映像的に過激なシーンが少なくなく、要望書にある強い鞭打ちなどはしばしば問題ではないかと話題が上がっている。他にも記載のあった1,000kg をソリで引っ張る光景や第2障害の光景などは、知らない方が見れば疑問に思うのも無理はない。
仮に今回の要望を受け入れたらどうなるのだろうか。
全ての馬は幸せになれるのだろうか。
答えはNOだ。現実的な問題から愛玩動物として保護される馬は限りなく少なく、ほとんどは食用として処理される。愛玩動物として馬を飼育するのは大変ハードルが高く、余程の余裕がなければ不可能なことなのだ。要望書を書いた、賛同した人間はそこに都合よく出資してくれる人間が出てくると思っているのだろうか。
競馬場の廃止、となると思いだされるのが中津競馬場の話だが、これは割愛させていただきたい。調べ直すだけで心臓が潰れそうになるほど辛くなるのだ。どうしても気になる方は自己責任での検索をお願いしたい。
こう書いてみると、馬という動物が愛玩動物として生きる道は限りなく細い。ならば、競争を通して愛し大切に育成するのも、1つの答えなのではないだろうか。
だがこれは「ばんえい競馬」の競技の印象について何ら解決になっておらず、理想の答えは未だ遠い。
まとめ
いかがだっただろうか。長く書いた割には具体性のある答えが示せず、情けないばかり。
書いた通り、私はこの問題に対しての明確な答えを持ち合わせていない。馬だけでなく関係者の生活も天秤に乗るのだから、その責任はとてつもなく大きい。
そんな中で何ができるのか。そう考えた時に情報を整理し、数字を示し、意見を述べること、これが私にできる精一杯だと思い勇気を出して筆をとった次第だ。
この記事の目的は、この問題に対しての視野を広げて欲しいというもので、こんな見方もできるのかと少しでも思っていただけたなら、書いて良かったと心から思う。
大変長くなってしまったが、ここまでお付き合いいただいたことに深く深く感謝したい。
コメント
私は一市民です。以前よりばんえい競馬の虐待行為は、直ちになくさないといけない、と思っていた一人です。あなたは、何を言いたいのですか。虐待はあってはならないと思っているのですか。虐待は、理由があればやむを得ない、と考えているのですか。ばんえい競馬を直ちに廃止しなさい、と帯広市に要望する人間は、どんな理由があろうと、絶対に虐待はあってはならない、絶対に許さない、と考えておられると思いますよ。私も絶対に許さないです。あなたが、ばんえい競馬の問題を、あなたなりに問題提起したことは、受けとめました。後日、また気が向いたら意見を入力します。